みなさん、こんにちは。スタートアップ・ラボ アシスタント・リサーチ・アドミニストレーターの郡司(ぐんじ)です。2023年5月10日(水)に千葉商業高校の3年生が取り組む「課題研究」の授業を見学させていただきました。
千葉県立千葉商業高校は「全日制」と「定時制」があり、全日制の2・3年次には「商業科」と「情報処理科」が設置されています。そのため、普通科高校の教育課程にはない、専門学科ならではの教育課程が設定されているとのことです。
今回お邪魔した授業は、3年生で全員が取り組む「課題研究」のなかでビジネス研究コースを選択している生徒たちのクラスです。この授業では、週に2回(水曜日1コマ・金曜日1コマ)、生徒1人1人が興味関心のあるテーマを選択し、自分なりの企画・実証を目指した探究学習が行われています。
授業中には、どんな問題意識を持って活動されているのか、生徒のみなさんにヒアリングさせていただきました。
昨年度までのテーマ事例は以下の通りです。ビジネスのことから、社会課題の解決まで、多岐に渡ったテーマ設定が行われており、生徒のみなさんの関心の多様さが見て取れます。
- キッチンカーを多くの人に広めたい
- 色が人に与える影響とその活用
- 犬猫の殺処分数ゼロ
- 若者の投票率を上げる
- 小湊鉄道を人気ナンバーワン私鉄にしてみた
- 農業後継者不足を解決するスマート農業
生徒の探究学習に必要になることを想定し、教員側からアンケートの実施手順や作成ヒントについて事前に提示されていました。
そんな生徒たちの活動を支えるのが、大川先生です。大川先生は、教員と生徒の関係性を「上司と部下」であると説明してくれました。
この授業では「そこ、うるさい。静かに」といった言葉かけを行うことはないそうです。その理由として、「生徒たちが就職した時には、そのような声かけをされることはないから」とのことでした。 関係性を捉え直すことによって、言葉の1つ1つも、生徒への向き合い方も変わってくるのだと気付かされました。
また、大川先生は、探究学習を行う上で、生徒全員が同じ作業をして、同じ結果になってしまうことは、生徒自身の主体性が欠けてしまっていることの表れだと指摘されていました。
「主体を生徒に預けた時、教員はどうしても心配になってしまう」という悩みを漏らしていましたが、教員自身が「失敗がリスクである」と恐れることなく、むしろ学校の中で安全に失敗させてあげられることが、生徒自身の成長や進路選択に重要だと考えを改めていくことが大切重要であると、具体例を交えてお話していただきました。
生徒の将来を常に考えながら、学びを支えている大川先生。
スタートアップ・ラボが取り組んでいくアントレプレナーシップ教育の教材開発では、大川先生ご自身が大切にされている要素の一つひとつを解釈していきながら、教材や教員向けガイドブック、教員向け研修の内容を充実させていきたいと思います。
関連リンク
アントレプレナーシップ教育の機会を高校生等へと拡大させる事業「EDGE-PRIME Initiative」に採択されました。(内部リンク)